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年利12%「未来の福祉」は本当に安定か。元銀行員が公費依存7割の構造を裏側から検証

黒文/黒瀬2026-05-28読了 約7分

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「社会貢献しながら年利12%」——この言葉に、あなたはどんな印象を持つだろうか。

銀行員時代の私なら、まず疑った。社会貢献と高利回りは、原則として両立しないからだ。慈善事業に高い金利を要求すれば、それは慈善ではなく搾取になる。それでも年利12%が成立しているとすれば、その裏に何らかの「特殊な収益構造」が隠れているはずだ。

今回検証する「未来の福祉」(旧サービス名:みんなで福祉)は、まさにその「特殊な収益構造」を持つ不動産特定共同事業だ。元銀行員の私が、この公費依存7割という独特の構造を、忖度なく解剖する。

「社会貢献しながら年利12%」が成立する裏側

不動産クラウドファンディングの相場は通常3〜8%。介護施設特化型のゴールドクラウドでも5〜8%台が標準だ。それを大きく上回る年利12%固定が、なぜ「福祉」というドメインで成立するのか。

結論から言えば、未来の福祉の収益源は「公費依存7割」という構造にある。事業収入の約7割が、国や自治体から支払われる障害福祉サービス報酬で構成されている。これは景気変動や入居者の支払能力にほぼ左右されない、極めて安定した収益基盤だ。

銀行員視点で見れば、この構造は「実質的に公的セクターからの売上を担保にした事業」と評価できる。民間賃貸のような空室リスクとは性質が違う。だからこそ高い利回りで投資家に還元できる余地が生まれる——というのが、運営側の主張する論理だ。

ただし、これは「公費が永遠に同じ水準で出続ける」前提に立った話でもある。この前提が崩れたとき何が起きるかは、後半で詳しく検証する。まずは運営会社の素性から見ていこう。

未来の福祉とは何か——運営会社と事業ライセンス

未来の福祉を運営するのは株式会社フラクタル(FRACTAL)。本社は東京都千代田区神田三崎町、代表は吉村篤氏である。宅地建物取引業免許は東京都知事(2)第102232号を取得しており、本業は不動産事業者だ。

そして重要なのは、フラクタルが「らくてい」というブランド名で障がい者グループホームを実際に運営しているという事実である。投資ファンドの裏側で運営される事業の実体が、自社サブブランドとして存在する点は、銀行員視点で見て大きな安心材料だ。

つまり未来の福祉は「不動産特定共同事業」として、フラクタル自身が運営するグループホーム不動産に投資家が出資し、その家賃収益から分配を受ける——という構造になっている。

未来の福祉

年利12%の正体は「公費収入7割」構造

ここで仕組みを少し噛み砕く。

障がい者グループホームの運営収入は、大きく分けて2つの源泉から成り立っている。

収入源1:障害福祉サービス報酬(公費)

利用者が自治体から受給する給付費。サービス提供者である運営事業者が、その給付費を国保連を通じて受け取る。利用者の自己負担は原則1割、残り9割が公費。つまり売上の大部分は税金から支払われる。

収入源2:利用者からの家賃・食費等(私費)

グループホームに住む利用者本人が、自分の年金や工賃から負担する家賃・光熱費・食費等。これは民間賃貸と同じ構造。

未来の福祉が「事業収入の約7割が公費」と説明するのは、この収入1の比率が高いことを指している。国や自治体からの売上は、景気が悪くなったから払わない、入居者が失業したから払わないということが起きない。これが安定性の源泉だ。

加えて、障がい者グループホームは厚生労働省の政策上、明確に「拡充すべき分野」と位置づけられている。2040年に向けて障害福祉サービスの需要は構造的に伸びる前提で動いている。需要側の見通しも比較的明るい。

ここまでだけ聞けば、確かに「公費裏付け×需要拡大領域×高利回り」という三拍子揃った商品に見える。だがここで銀行員視点を入れる。安定とリスクは表裏一体だ。

元銀行員の目で見る「3つのリスク」

未来の福祉に投資を検討するなら、以下の3つのリスクは絶対に飲み込んでおいてほしい。

リスク1:政策変更・報酬改定リスク

これが最大のリスクだ。事業収入の7割が公費ということは、公費が下がれば事業の収益性が直撃されるということでもある。

障害福祉サービス報酬は3年に1度改定される。介護報酬と同様、財政状況や政策方針によって引き下げられることがある。直近では2024年度改定でグループホーム関連の一部単価が見直されており、運営事業者の収益環境は決して右肩上がりではない。

加えて「重度障害者の地域移行を進める」という政策方針が変わったり、補助金の枠が縮小されたりすれば、運営の前提が変わる。公費依存は安定の源泉であると同時に、政策変更リスクの集中点でもある。

リスク2:運営事業者リスク

不動産特定共同事業の宿命だが、運営事業者(株式会社フラクタル)自体の経営状態が悪化すれば、ファンド全体が影響を受ける。グループホームの不動産は残るとしても、運営ノウハウを持つ事業者が立ち行かなくなれば、施設稼働が止まる。

フラクタルは宅建免許を保有し、自社で実運営も行っている点は強みだが、第三者格付けや公開財務情報が限定的で、銀行員視点での財務健全性チェックが難しい。これは未来の福祉に限らず、不動産特定共同事業全般の構造的弱点でもある。

リスク3:途中解約不可・流動性リスク

未来の福祉の運用スキームは、Aプラン(100万円/口、配当計5回)、Bプラン(50万円/口、配当計3回)。初回利息は1年半後、その後年1回の分配。これは長期コミット型の商品だ。

途中で「やっぱり辞めたい」となっても、原則として運用終了まで換金できない。Aプランなら数年単位で資金が拘束される。流動性が完全に消えることを覚悟して投資する必要がある。

「年利12%固定」「元本割れ実績なし」という運営側の説明は事実だとしても、それは過去の運用結果であって将来の保証ではない。この3点を踏まえた上で、なお投資価値があると判断できるかどうかが分かれ目だ。

ゴールドクラウド(article-18)との違い

このブログでは先日、介護施設・サ高住特化型の不動産クラウドファンディング「ゴールドクラウド」を取り上げた。同じく「高齢化社会×福祉領域×不動産CF」というドメインだが、未来の福祉とは性質が全く違う。

項目未来の福祉ゴールドクラウド
対象事業障がい者グループホーム介護施設・サ高住
スキーム不動産特定共同事業(任意組合型)不動産クラウドファンディング
想定利回り年利12%固定5.15〜8.34%
公費依存比率約7割比較的低い(介護報酬は一部)
最低投資額50万円〜100万円1万円〜
運用期間数年単位6〜12ヶ月中心
流動性低い比較的高い

利回りだけ見れば未来の福祉が圧倒的に高い。だが「最低投資額」「運用期間」「流動性」で見ると、ゴールドクラウドの方が圧倒的に取り組みやすい。

私の見方はこうだ。まずゴールドクラウドのような低額・短期型で福祉領域のCFに慣れてから、未来の福祉のような高利回り・長期型に進むのが筋だ。いきなり50〜100万円を数年拘束される商品から入るのは、銀行員的に勧めない。

未来の福祉が向く人・向かない人

以上を踏まえての評価はこうだ。

向いている人:

向いていない人:

特に最後の項目は重要だ。未来の福祉は不動産CFの初心者向け商品ではない。最低投資額・運用期間・スキーム理解の必要度を考えると、ある程度の経験者向け商品と位置づけるべきだ。

まとめ——銀行員が「条件付きで認める」福祉系ファンドの選び方

未来の福祉は、株式会社フラクタルが自社運営する障がい者グループホームを投資対象とする、不動産特定共同事業型ファンドだ。年利12%固定という高利回りの裏には、事業収入の約7割が公費(障害福祉サービス報酬)で構成される独特の収益構造がある。

元銀行員の視点で言えば、これは「条件付きで認める」商品だ。

条件1:投資総額がポートフォリオの一部に収まること(数年単位で動かせない金であることを許容できる範囲) 条件2:政策変更・報酬改定リスクを理解した上で、なお公費依存事業の安定性を評価できること 条件3:50〜100万円という最低投資額に対し、十分な余裕資金があること

これらを満たす投資家にとって、未来の福祉は「社会貢献軸と利回り軸を両立させる」という稀有な選択肢になり得る。だが満たさない投資家——特に退職金や老後資金で運用したい層、初心者層、流動性を重視する層——には、銀行員として勧められない。

公式サイトでは現在の募集案件、過去の運用実績、運営会社の詳細情報が確認できる。投資判断の前に、まずは資料請求や会員登録でスキームの細部とリスク事項を自分の目で確認することから始めるのが、銀行員的に納得のいく入り方だろう。

未来の福祉

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※本記事に記載の想定利回り・運用実績データは、運営会社および第三者検証メディアの公開情報に基づくものです。想定利回りは目標値であり、将来の運用成果を保証するものではありません。不動産特定共同事業は元本保証のない金融商品であり、政策変更・運営事業者の経営状況・市場環境等により元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任(自己責任)で行ってください。

本記事は2026年05月時点の公表情報をもとにした情報提供を目的とする内容で、特定の商品の購入を勧誘するものではありません。投資は元本が保証されず、価格変動等により損失が生じる可能性があります。想定利回りは将来の運用成果を保証するものではありません。最新の内容は各社の公式情報をご確認のうえ、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

黒

黒瀬

投資信託の正体・編集担当。元銀行員の視点から、金融機関が積極的には語らない手数料やリスクの「裏側」を、忖度なしでわかりやすくお伝えしています。

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